「まだなの?」待ち時間のクレーム対応:焦りと怒りを和らげる声かけ
繁忙期の月曜日の午前中。待合室は患者さんであふれかえり、調剤室も戦場のような忙しさ。「まだ呼ばれないの?もう30分も待ってるんだけど!」と、ついに一人の患者さんが窓口に詰め寄ってきました。焦った私は「申し訳ございません、順番にお作りしておりますのでもう少々お待ちください」と答えましたが、「少々ってどれくらいだよ!」とさらに怒らせてしまいました。
薬局でのクレームの中で最も多いのが、この 「待ち時間」 に関するものです。体調が悪い中、病院で長時間待たされ、さらに薬局でも待たされる患者さんのストレスは計り知れません。 今回は、待ち時間に対するクレームを最小限に抑え、患者さんのイライラを和らげるための具体的な対応方法を解説します。
🚫 1. 絶対に言ってはいけないNGワード
待ち時間に対してお怒りの患者さんへ、無意識に使ってしまいがちな言葉があります。
- ❌「順番にお呼びしております」
- なぜNGなのか: 患者さんにとっては「そんなことは分かっている」という事実であり、「あなたは後回しです」と言われているように感じてしまいます。
- ❌「もう少々お待ちください」
- なぜNGなのか: 「少々」の感覚は人それぞれです。患者さんは「すぐ呼ばれる」と期待し、5分経っても呼ばれないと「嘘をつかれた」とさらに怒りを募らせます。
- ❌「混み合っておりまして…」
- なぜNGなのか: 薬局側の都合(言い訳)の押し付けになり、患者さんの感情には寄り添っていません。
⭕ 2. 怒りを和らげる正しいステップ
患者さんから「遅い!」とお叱りを受けたときは、以下のステップで対応しましょう。
Step 1: まずは感情を受け止め、謝罪する
まずは、長く待たせてしまっている事実と、患者さんのイライラに寄り添います。
「大変長らくお待たせしており、誠に申し訳ございません。お疲れのところお待たせしてしまい、ご負担をおかけしております。」
Step 2: 具体的な状況と見通しを伝える
患者さんの不安を取り除くために、具体的な数字を使って見通しを伝えます。
「現在、〇〇様のお薬は監査(最終確認)の段階に入っております。あとおおよそ5分ほどでお呼びできる予定です。」
Step 3: 選択肢を提案する
もし非常に時間がかかる場合(一包化や粉薬の調剤など)は、待合室で待つ以外の選択肢を提案します。
「お薬の準備にあと30分ほどかかりそうなのですが、一度外出されて後ほどお越しいただくことも可能です。また、お急ぎであれば郵送(または後日お渡し)の対応もできますが、いかがなさいますか?」
💡 3. クレームを未然に防ぐ「先制攻撃」のコミュニケーション
クレームが起きてから対処するのではなく、クレームになる前のアプローチが非常に効果的です。
お薬をお渡しするまでに時間がかかりそうだと分かった時点で、こちらから先に声をかけに行くことが重要です。「〇〇様、処方内容の確認でお時間をいただいておりまして、あと10分ほどかかりそうです。申し訳ありません。」と事前に伝えるだけで、患者さんは「気にかけてくれている」と感じ、怒りの発生を抑えることができます。「待たされた」ではなく「待ってくれている」という関係性を作ることが鍵です。
📝 4. まとめ:待ち時間対応の鉄則
待ち時間のクレーム対応で大切なのは、患者さんの「見えない不安」を取り除くことです。
- 曖昧な言葉を避ける:「少々」や「しばらく」ではなく、「約10分」「あと3番目」など具体的な目安を伝える。
- こまめな声かけ:待ち時間が長くなっている患者さんには、こちらから進捗状況を伝えに行く。
- 患者さんの時間を尊重する:待合室で待つ以外の選択肢(外出、後日来局など)を柔軟に提案し、患者さんに選んでもらう。
「薬局だから待つのが当たり前」という意識を捨て、患者さんの貴重な時間をいただいているという姿勢で対応することが、信頼関係の構築に繋がります。