ホーム>消化器系>【現役薬剤師が解説】整腸剤の種類と違いとは?ビオフェルミンやミヤBMの選び方
目次

💊 整腸剤ってなに?どんな違いがあるの?

【薬剤師のヒヤリハット体験】
ある日、薬局に「ビオフェルミン散剤」の処方箋を持った患者さんがいらっしゃいました。しかし、その時のうちの薬局には「ビオフェルミン配合散」しか在庫がありませんでした。

当時の私は恥ずかしながらよくわかっておらず、「『配合』されているんだから上位互換でしょ!疑義照会(お医者さんへの確認)して変更してもらえばいいや」と軽く考えていました。すると、先輩薬剤師から「その疑義照会はちょっと待って!」と止められてしまったのです。

「整腸剤なんて、どれもお腹の調子を整えるだけでしょ?」とだけ考えていた私の認識が甘かったと思わされた出来事でした。

そんな私と同じような恥ずかしい思いをする人が少しでも減るように、今回は**「整腸剤に入っている菌の違い」**についてまとめていこうと思います!

🔬 1. 整腸剤に入っている「菌」の種類と特徴

整腸剤は、腸の中にいる「善玉菌(良い菌)」を増やして、腸の環境を整えるお薬です。大きく分けると、次のような種類の菌が使われています。

乳酸菌
ビオフェルミン、ラクトミン
ビフィズス菌
ラックビー、ビオフェルミン
酪酸菌(宮入菌)
ミヤBM
糖化菌
ビオフェルミン配合散、ビオスリー

🦠 ① 乳酸菌(ラクトミンなど):「酸」で腸を整えるオールラウンダー

  • 特徴: 「乳酸」という酸を作って、腸の中を少し酸性にします。悪玉菌(悪い菌)は酸っぱい環境が苦手なので、悪玉菌が増えるのを防いでくれます。
  • 働く場所: 小腸〜大腸
  • こんな時に: 軽い便秘や下痢、お腹の張りが気になるとき。初めて整腸剤を飲む人にも使いやすいです。
  • 代表的なお薬: ビオフェルミン、ラクトミンなど

🛡️ ② ビフィズス菌:大腸で働く「便秘」の味方

  • 特徴: 人の腸の中に一番たくさんいる善玉菌です。乳酸に加えて「酢酸(お酢の成分)」も作り出し、腸の動きを活発にして便の水分バランスを整えます。
  • 働く場所: 小腸の終わり〜大腸
  • こんな時に: 便秘がちで便が硬いとき、残便感(すっきりしない感じ)があるとき。
  • 代表的なお薬: ラックビー、ビオフェルミン(一部)など

🧱 ③ 酪酸菌(宮入菌):腸の「バリア」を元気にする

  • 特徴: 「酪酸」という成分を作り出します。これは大腸の細胞のエネルギー源になり、腸の粘膜(バリア)を丈夫にしてくれます。「芽胞(がほう)」という硬い殻を作れるので、胃酸に強くて生きたまま腸に届きやすいです。
  • 働く場所: 主に大腸
  • こんな時に: 下痢気味のとき、腸が弱っていると感じるとき。抗生物質(ばい菌をやっつける薬)を飲んでいるときにも効果が落ちにくいです。
  • 代表的なお薬: ミヤBMなど

🤝 ④ 糖化菌:他の菌を元気にする「サポーター」

  • 特徴: 糖化菌自体が腸を整えるというよりは、腸の中にいるビフィズス菌や乳酸菌のエサを作って、他の善玉菌が10倍以上も増えるのを助けるというすごい役割を持っています。
  • 働く場所: 小腸の上のほう
  • 代表的なお薬: ビオフェルミン配合散、ビオスリー(他の菌と一緒に入っています)

🔄 2. 複数の菌がタッグを組んだお薬も!

1種類の菌だけでなく、いくつかの菌が混ざっている「複合生菌(ふくごうせいきん)」というタイプのお薬もあります。

🌟 ビオスリー(乳酸菌 + 酪酸菌 + 糖化菌)

この3つの菌がお互いに助け合うことで、より強力に腸内環境を整えます。便秘と下痢を繰り返すような時や、1つのお薬で幅広くカバーしたい時によく使われます。

🌟 ビオフェルミン「配合散」(乳酸菌 + 糖化菌)

普通の「ビオフェルミン散」はビフィズス菌だけですが、「配合散」は乳酸菌と、それを助ける糖化菌がセットになっています。


🩺 3. 抗生物質と一緒に飲む「特別な整腸剤」って?

風邪などで「抗生物質(ばい菌をやっつけるお薬)」が出たとき、一緒に整腸剤が出ることがあります。 抗生物質は悪い菌だけでなく、腸の中の良い菌(善玉菌)までやっつけてしまうため、下痢になりやすくなるからです。

そこで活躍するのが**「耐性乳酸菌(たいせいにゅうさんきん)」という特別なお薬です。 名前に「R(Resistant=抵抗力がある)」がつくことが多いです。(例:ビオフェルミンR**、ラックビーRなど)

これらは、抗生物質に負けないように特別に作られた菌なので、抗生物質と一緒に飲んでもしっかり腸まで届いて働いてくれます。 ※酪酸菌(ミヤBMなど)も元々抗生物質に強いため、一緒に処方されることがよくあります。


🎯 4. 症状や目的に合わせた「選び方の目安」

お医者さんは、患者さんの症状に合わせて整腸剤を選んでいます。

便秘が気になるとき
  • ビフィズス菌(ラックビーなど)
下痢が気になるとき
腸のバリアを強めたいとき
  • 酪酸菌(ミヤBMなど)
便秘も下痢もあって
症状が不安定なとき
  • 複合タイプ(ビオスリーなど)
抗生物質を飲んでいるとき
  • 耐性乳酸菌(ビオフェルミンR、ラックビーRなど)
  • 酪酸菌(ミヤBM、ビオスリーなど)

⚠️ 5. 気をつけたい「飲み合わせ」

整腸剤の中には、納豆菌を使ったものもあります。 市販薬だと**「ザ・ガードコーワ整腸錠α³+」**などが有名です。(実は、ビオスリーなどに入っている「糖化菌」も納豆菌の仲間です)

🚨 要注意!
納豆菌はとてもタフで優秀ですが、血液をサラサラにするお薬(ワーファリン)を飲んでいる人は、お薬の効果を弱めてしまう可能性があるので一緒に飲んではいけません。必ずお医者さんや薬剤師さんに相談してください。

🌿 6. まとめ:それぞれの菌の個性を知ろう!

整腸剤は腸の環境を整える手助けをしてくれますが、それだけに頼るのではなく、お水を飲んだり食物繊維を摂ったりする普段の「腸活」も大切です。

そして、冒頭の私のエピソードの結末ですが……。 結局、「ビオフェルミン散剤」の処方は、配合散への変更ではなく**「ビオフェルミン錠剤の粉砕(錠剤をすりつぶして粉にする)」**という対応になりました。

今回解説したように、「ビオフェルミン散剤(ビフィズス菌のみ)」と「ビオフェルミン配合散(乳酸菌+糖化菌)」では、中に入っている菌の種類がまったく違うため、単純に「名前が似ているから」「配合されているから」という理由で簡単に変更の疑義照会はできないんですね。

皆さんも整腸剤を選ぶときや飲むときは、ぜひ「どの菌が自分のお腹で頑張ってくれるのかな?」と少し意識してみてくださいね!

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