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急性膵炎重症度判定基準とは?重症度評価のポイント

【薬剤師の臨床現場エピソード】
在宅医療で患者様ご自宅に訪問した際に、患者さんが背部痛を訴えており発熱や嘔吐もあるとのことでこれは緊急で医師にもてもらわないとダメな症状だとすぐに分かりました。在宅医師へ緊急に連絡緊急往診ののち大きな病院へと搬送されました。その後急性膵炎と診断されました。

その話を先輩薬剤師に話したときに「その後病院でどんな処置が起こると思う?」と尋ねられました。
消化器内科の医師は、急性膵炎重症度判定基準ってゆうので重症度を判断する。 それによって治療薬も変わるよと教えてもらいました

当時は、患者さんの全身状態と重症度がどうリンクしているのかを理解していませんでした。

急性膵炎は、病勢が急激に変化することが特徴です。今回は、臨床現場で今なお活用されている**「急性膵炎重症度判定基準」**について、薬剤師として押さえておくべき評価のポイントを解説します。急性膵炎は、膵臓で作られる消化酵素が膵臓自身や周囲の臓器、内臓脂肪を溶かしてしまう病気であり、重症化すると命に関わる可能性があるため、早期の診断と治療が不可欠です。

根拠となる情報元の詳細を見る引用元文章: 急性膵炎は膵臓で作られる消化酵素が膵臓自体や周りの臓器、内臓の脂肪を溶かす病気であり、進行が早く重症化すると命に関わるため、早期の診断と治療が不可欠であるとされています。
参照元: 急性膵炎とは?―大酒家や胆石持ちの方の激しい腹痛 - Google Cloud, 急性膵炎とは、種々の原因により膵臓自体の防御機構が破壊されて - 中江病院, 急性膵炎 | 健康コラム - 立川病院

🔍 なぜ「重症度判定」が重要なの?

急性膵炎の予後は、いかに早期に重症度を把握し、適切な輸液や集中治療を開始できるかにかかっています。 この判定基準を理解しておくことで、**「なぜ点滴を使わないで経腸管栄養が行われているのか」「なぜ抗菌薬が使われているのか?」**といった、医師の処方の意図をより深く理解できるようになります。早期に重症度を判定し、適切な治療を行うことは、合併症や死亡を防ぐために重要とされています。

根拠となる情報元の詳細を見る引用元文章: 急性膵炎の重症度を早期に判断することは、その後の予後を改善させる可能性があり、適切な治療を行うために極めて重要であるとされています。重症急性膵炎では救命が困難になるケースもあるため、発症が疑われた場合は速やかに重症度評価を行い、治療を選択・開始することが求められます。診断後直ちに重症度判定を行い、入院後は経時的に(特に48時間以内)重症度判定を繰り返すことが推奨されています。
参照元: 厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(2008) - ナース専科, 急性膵炎 | ガイドライン(鑑別・症状・診断基準・治療方針) - HOKUTOアプリ, 急性膵炎 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト

💡 まずは知っておきたい!急性膵炎の代表的な症状

急性膵炎の症状は、突然発症する激しい痛みが特徴です。 大きく分けて「主な痛み」「その他の症状」「危険なサイン」の3つがあります。

どんな症状が出るの?(症状のまとめ)

症状の種類 具体的な様子(どんな感じ?) 特徴・ポイント
🚨 激しいお腹と背中の痛み みぞおちの激痛: 突然、または時間をかけてひどく痛みます。じっとしていても治まりません。
背中への広がり: 痛みが背中や腰まで突き抜けるように広がります。
胃潰瘍や胆石の痛みと間違われることがあります。
※前かがみで膝を抱える姿勢(エビのような姿勢)をとると、痛みが少し和らぐことがあります。
⚠️ その他の症状 吐き気・嘔吐: 激しい痛みのせいで、何度も吐いてしまうことがあります。
発熱: 炎症のせいで熱が出ます。
お腹の張り: お腹がパンパンに張って、食欲がなくなります。
痛みに伴って、いろいろな不調が体全体に現れることがあります。
🆘 重症化のサイン
(すぐに医療機関を受診!)
意識がぼんやりする
冷や汗・強いめまい(血圧が急に下がるため)
皮膚や白目が黄色くなる(黄疸:おうだん)
状態が急激に悪化している可能性があり、早期の治療が必要です。

💡 要注意な人 多量の飲酒歴がある人や、過去に「胆石」を指摘されたことがある人は、急性膵炎の原因となることが多いため特に注意が必要です。

根拠となる情報元の詳細を見る引用元文章: 急性膵炎の代表的な症状は上腹部の激しい持続性の痛みであり、みぞおちから背中へと放散する特徴があります。吐き気や嘔吐、発熱、黄疸なども見られることがあります。重症例では呼吸困難や意識障害を伴うこともあり、迅速な対応が求められます。急性膵炎の主な原因はアルコールの多量摂取と胆石症がほとんどを占めるとされています。
参照元: 急性膵炎とは?―大酒家や胆石持ちの方の激しい腹痛 - Google Cloud, 急性膵炎 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト, 池袋周辺で背中の痛みとみぞおちの痛みがある方へ|急性膵炎で背中が痛むのはなぜ?

📊 重症度判定の基本

日本の急性膵炎重症度判定基準は、厚生労働省の難治性膵疾患研究班が作成した基準が用いられています。 この基準は、以下の2つの軸で重症度を分類します。

分類 評価指標 薬剤師の着目ポイント
重症度(段階) 予後因子(9項目)の数 3点以上で「重症」。輸液量や介入の緊急度
重症度(病態) 造影CTによる膵壊死・浸出液 Grade2以上で「重症」。感染予防のための抗菌薬投与や外科的介入の必要性

1. 予後因子(9項目)の評価

以下の項目のうち、3点以上あれば「重症」と判定されます。 臨床検査値がこの基準をクリアしているか、電子カルテで確認する習慣をつけましょう。予後因子スコアによる重症度判定は、少なくとも診断時、翌日、さらにその翌日までは繰り返し実施することが推奨されています。

  • **SIRS(全身性炎症反応症候群)の診断基準3項目以上**
  • **Base Excess(BE)≦ -3 mEq/L、またはショック(収縮期血圧≦80mmHg)**
  • **BUN ≧ 40mg/dl(もしくはCr ≧ 2mg/dl)、または乏尿(輸液後も1日尿量が400ml 以下であるもの)**
  • **総Ca 値 ≦ 7.5 mg/dl**
  • **PaO2 ≦ 60mm Hg (room air)、または呼吸不全(人工呼吸器管理を必要とするもの)**
  • **LDHが基準値上限の2倍以上(約450〜500 U/L以上)**
  • **CRP ≧ 15 mg/dL**
  • **血小板数 ≦ 10万/mm3**
  • **年齢 ≧ 70 歳**
SIRS 診断基準項目
(1)体温>38℃または<36℃
(2)脈拍>90 回/分
(3)呼吸数>20 回/分またはPaCO2< 32 mm Hg
(4)白血球数>12,000 /mm3もしくは<4,000 /mm3、または10%超の幼若球の出現
根拠となる情報元の詳細を見る引用元文章: 厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(2008)は、予後因子スコアと造影CT Gradeで構成されており、予後因子9項目中3点以上で重症と判定されます。予後因子スコアによる重症度判定は、少なくとも診断時、翌日、さらにその翌日までは繰り返し実施することが推奨されています。予後因子には、SIRS診断基準3項目以上、Base Excess≦-3mEq/L、PaO2≦60mmHg、BUN≧40mg/dl、総Ca値≦7.5mg/dl、LDHが基準値上限の2倍以上、CRP≧15mg/dL、血小板数≦10万/mm3、年齢≧70歳が含まれます。SIRS診断基準は、体温、脈拍、呼吸数、白血球数に関する項目から構成されます。
参照元: 厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(2008) - ナース専科, 急性膵炎重症度判定 | リコモジュリン Utility tools - Pharma DIGITAL, 32. 重症急性膵炎

2. 造影CTの評価(CT画像でのお腹のダメージチェック)

CT検査の画像を使って、「炎症がどこまで広がっているか」と「膵臓のダメージ(血流が悪くなっている部分)」の2つを点数で評価します。

① 炎症の広がり(どこまで腫れているか?)

広がりの範囲(カッコ内は専門用語) 点数
膵臓のすぐ近くにとどまっている(前腎傍腔) 0点
少し離れたところまで広がっている(結腸間膜根部) 1点
腎臓の下の方まで広く広がっている(腎下極以遠) 2点

② 膵臓のダメージの広がり(血流が悪い部分はどれくらいか?)

※膵臓を「右側(頭)」「真ん中(体)」「左側(しっぽ)」の3つのブロックに分けて判定します。

ダメージの範囲 点数
1つのブロックだけ、または膵臓の周りだけ 0点
2つのブロックにまたがっている 1点
2つのブロック全体、またはそれ以上 2点

💡 ここがポイント! ①と②の点数を合計したものが「CT Grade(グレード)」になります。これが**Grade 2以上になると「重症」**と判断され、より注意深い治療が必要になります。

根拠となる情報元の詳細を見る引用元文章: 厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(2008)では、造影CT Gradeにより重症度を評価します。造影CT Gradeは炎症の膵外進展度と膵の造影不良域のスコアを合計し、合計2点以上で重症と判定されます。炎症の膵外進展度は前腎傍腔(0点)、結腸間膜根部(1点)、腎下極以遠(2点)で評価し、膵の造影不良域は膵を3つの区域に分け、1つの区域のみまたは膵周囲のみ(0点)、2つの区域にかかる場合(1点)、2つの区域全体またはそれ以上(2点)で評価します。造影CTは急性膵炎の診断、重症度判定のために推奨されており、重症急性膵炎は死亡率が高いため、早期に検出し適切に治療する必要があるとされています。
参照元: 32. 重症急性膵炎, 急性膵炎のCTグレードの評価をイラストと画像でわかりやすく解説!, 急性膵炎のCT画像診断のポイントは?症状、治療、原因、ガイドライン、CT gradeは?

💡 薬剤師が現場でチェックするポイント

薬剤師は、患者さんの治療が安全で効果的に進むように、主に「痛み止め」「抗菌薬」「栄養のとり方」の3つのポイントを確認します。

薬剤師の3つのチェックポイント

分野 薬剤師が確認・提案すること その理由(なぜそうするの?)
① 痛み止め(鎮痛薬) • 点滴で使える「アセトアミノフェン」を基本にする。
• 痛みの強さに合わせて「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」を追加・変更。
• 痛みがひどい場合は「医療用麻薬(オピオイド)」を使うことも検討される。
急性膵炎の痛みは非常に激しく持続的であるため、発症早期より十分な除痛が必要だからです。痛みを適切に管理することが、患者さんの体力を守るために重要です。
② 抗菌薬 軽症: 原則、予防的抗菌薬投与は推奨されません。
重症: 予防的抗菌薬の投与は、感染性膵壊死の発生率や死亡率を減少させるという明確な改善効果は証明されていません。
例外: 胆石が原因で、胆管炎などの感染症を合併している場合は、治療薬として抗菌薬を使用します。
膵炎は「自己消化」で起こるため、発症時は無菌であることが多く、予防的な抗菌薬投与は耐性菌の出現や真菌感染を助長する可能性があり、推奨されません。感染が証明された場合や感染性壊死性膵炎が強く疑われる場合に使用すべきです。
③ 栄養のとり方 • 栄養は「点滴」よりも、できるだけ早く「腸」からとる(経腸栄養)ようにサポートする。
• 発症から72時間(3日)以内には経腸栄養を始めることが推奨されている。
腸を使わないと腸のバリア機能が弱まり、腸内細菌が体内に移行しやすくなるためです。早期の経腸栄養は、腸内環境を整えることで感染予防対策としても重要です。

📌 薬剤師の目線 「痛みがしっかり取れているか」「不必要な抗菌薬が使われていないか」「いつから腸を使った栄養補給が始まるか」を医師や看護師と相談しながら、患者さんをサポートします!

根拠となる情報元の詳細を見る引用元文章: 急性膵炎の疼痛は激しく持続的であるため、発症早期より十分な除痛が必要です。軽症から中等症にはブプレノルフィンが有用とされ、アセトアミノフェンやNSAIDsも用いられます。重症例では強オピオイドの使用も考慮されます。抗菌薬については、軽症膵炎には予防的抗菌薬投与は推奨されず、重症例や壊死性膵炎においても、予防的投与は生命予後や感染性膵合併症発生に対する明らかな改善効果は証明されていません。ただし、胆石性膵炎で胆管炎を合併している場合は、治療薬として抗菌薬を使用します。栄養管理に関しては、早期の経腸栄養が推奨されており、発症後48時間以内の開始が望ましいとされています。これは、腸内環境を整え、腸のバリア機能を守ることで感染予防にも繋がるためです。
参照元: 急性膵炎の疼痛に使用する鎮痛薬は?(病院薬局)公益社団法人 福岡県薬剤師会 |質疑応答, 急性膵炎ガイドライン2025改訂に関して (主に抗菌薬に関連する部分のみ) - note, 急性膵炎の抗菌薬処方はもう古い!?最新治療とは―診療ガイドライン2021発刊|CareNet.com, 急性膵炎と慢性膵炎|一般社団法人 日本肝胆膵外科学会, 急性膵炎診療ガイドライン 2021 第5版 - Mindsガイドラインライブラリ

⚠️ まとめ

急性膵炎重症度判定基準(2008)は、単なる医学的な分類ではありません。患者さんが今、どのステージの危機に直面しており、どのような治療(輸液、抗菌薬、栄養管理)を優先すべきかを判断するためのツールです。

日々の業務の中で、「この患者さんのLDHが高いな」「CRPが下がってきたな」といった小さな変化を、重症度判定基準と照らし合わせて評価してみてください。それが、薬剤師としての信頼性を高める第一歩となります。

💡 アドバイス
臨床現場で迷ったときは、常に「日本膵臓学会の急性膵炎診療ガイドライン」を確認する癖をつけましょう。基準値の暗記よりも、「今の数値が治療方針にどう影響するか」を医師とディスカッションできるようになることが、薬剤師として最も重要です!
根拠となる情報元の詳細を見る引用元文章: 急性膵炎の診療において、厚生労働省の重症度判定基準や日本膵臓学会の診療ガイドラインは、患者の病状を正確に把握し、適切な治療方針を決定するための重要なツールです。ガイドラインでは、重症度判定の結果に基づいて輸液管理、抗菌薬の使用、栄養管理など、様々な治療アプローチが推奨されています。これらのガイドラインを理解し活用することが、薬剤師の臨床における信頼性向上にも繋がります。
参照元: 急性膵炎診療ガイドライン 2021 第5版 - Mindsガイドラインライブラリ
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